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中小企業施策調査会研究報告第1号「『経営者保証に関するガイドライン』における公認会計士等が実施する合意された手続に関する手続等及び関連する書面の文例」の公表について

掲載日
2017年12月01日
号数
1号
常務理事 酒井 宏暢

  日本公認会計士協会は、平成29年12月1日付けで「『経営者保証に関するガイドライン』における公認会計士等が実施する合意された手続に関する手続等及び関連する書面の文例」を公表しましたので、お知らせします。

  平成25年12月に「経営者保証に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)及び「『経営者保証に関するガイドライン』Q&A」が、日本商工会議所及び一般社団法人全国銀行協会を事務局とする「経営者保証に関するガイドライン研究会」から公表され、平成26年2月1日から適用されております。ガイドラインは、中小企業・小規模事業者等(以下「中小企業」という。)の経営者による個人保証(以下「経営者保証」という。)の契約時及び履行時等における様々な課題に関して、中小企業、経営者及び金融機関による対応についての自主的自律的な準則として策定されたものです。

  ガイドラインは、経営者保証について、保証契約時と主たる債務の整理局面における保証債務の整理(履行等)時とに区分して、それぞれの課題と具体的な解決策について整理しています。

  このうち、前者では、ガイドラインが経営者保証に依存しない融資の一層の促進が図られることを本旨とすることを明示しつつ、経営者保証のない融資の実現に当たって求められる中小企業の経営状況を明らかにするとともに、保証を求めない可能性や停止条件又は解除条件付保証契約(主たる債務者が特約条項に抵触しない限り保証債務の効力が発生しない契約等)等の代替的な融資手法の活用等を含めた金融機関側の検討項目を示しています。経営者保証のない融資の実現に当たって求められる中小企業の経営状況として挙げられている項目は、① 法人と経営者との関係の明確な区分・分離、② 財務基盤の強化、③ 財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保となっています。

  これらのうち①と③は、ガバナンスや情報開示に係る事項であって、経営方針や経営体制の改善によって計画的に実現を図ることが可能であり、公認会計士等による適切な検証が期待されています。

  一方、後者は、主たる債務者について事業再生等が開始された場合、経営者の帰責性や経営資質等を勘案して一律に経営者の交代を求めないことや、経営者の事業再生等の着手の決断が早く、事業再生の実効性の向上に資するものとして、債権者としても一定の経済合理性が認められる場合には、保証債務の履行・減免に当たって経営者に一定の資産を残すことを検討するとしています。

  本研究報告は、公認会計士等が、専門業務実務指針4400「合意された手続業務に関する実務指針」に基づき、ガイドラインに関連して主たる債務者が開示することとされている「法人と経営者との関係の明確な区分・分離」に関する情報の信頼性を向上することに資するために公認会計士等が合意された手続の業務を行う際の手続を例示するものです。

  本研究報告は、本会の会員である公認会計士等が債務者である会社等と合意された手続を協議して決定するとともに合意された手続業務契約書を会社等と締結することに資するために作成されています。示されている手続はあくまでも一例を示したものにすぎず、言うまでもなく、合意された手続は、契約当事者の合意によって実施されるものです。実際の業務実施に当たっては、債務者の状況及び債権者の求める水準等を反映して、事案に応じて適宜柔軟に合意された手続が決定された上で、合意された手続業務契約書を作成することに留意するよう、お願いいたします。例えば、金融機関が、債務者との間で親密な関係を長く維持することにより蓄積された債務者に関する情報を有していることや債務者の事業規模等を踏まえながら手続が決定されること等が考えられます。

  本研究報告は、公認会計士等が合意された手続の業務を行う際の手続を例示するものであり、引き続き検討していきたいと考えています。今後の経営者保証に関する実務の進展とともに、必要に応じて継続的に見直し・改正を行うこととしています。なお、ガイドライン等の概要や本研究報告で示されている手続等に関して、今後、研修会を実施する予定であることを申し添えます。

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